『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著 スマホが脳をハッキング中!?

スマホ脳

岡山ママブロガーのマイコです。

スウェーデン出身のアンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』を読みました。

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ものすごく簡単に言うと、

  1. 20万年の歴史を通して環境に適応してきた脳
  2. ほんの数年前に出現したスマホ

この2つがいきなりうまいことやっていけるはずがないということをいろんなデータを紹介しながら説明している本です。

スマホやアプリの開発には、世界中の優秀な頭脳が結集し、人々の脳をハッキングする方法を開発しています。

スティーブ・ジョブズは、わが子にデジタル機器を使う時間を制限していたし、開発者の中には、自分たちはなんてものを作ってしまったのかと後から後悔し、その事の重大さに怖れを抱いている人もいるとのことです。

進化の産物である脳は、進化してきたように考える

『スマホ脳』p.24,25より引用

人も動物も進化を重ねることで、あらゆる環境に適応し、生き残ってきました。

最も環境に適応できるものが種を残してきたことで、その特性を重ね合わせながら進化してきました。

 

大昔、人は危険察知能力が優れていないと生き残れませんでした。

周りに危険がないか、常に気を配り、敵に身構え、生き残らなければならなかったからです。

ものすごく長い間、そういった環境を生き抜いてきた結果、周りに対する不安を感じる力がよいものとして引き継がれ、人は自然にしていればネガティブな発想を持つように進化してきました。

 

急にライオンに襲われる心配はなく、飢餓の心配がなくなった現代でも、脳は同じように考えます。

戦争も飢餓の心配もない世界は、先ほどの写真の点8個分にすぎません。

9992個分の歴史のデータの方を脳は信頼しています。

 

人は自然にいつも不安を感じるように進化してきました。

子どもが10歳まで生きられず、たくさんの人が30代で死んでいた時代、危険予知能力は、生き延びるためにとても大切な能力でした。

食べ物を得るために、人々は協力し合わないと生きていけませんでした。

当時、グループからはみ出すこと=死を意味しました。

 

それゆえ、現在のスマホ社会でも、みんなの注意をもっとも引き付ける情報は、

  1. 戦争や暴力、感染症など、直接命の危険に関わるニュース
  2. 共同体を揺るがすような人の悪口を書いたゴシップ記事

どちらも長い人類の歴史のなかで、生き残るために必須の情報だったからです。

人の注目を集めるほど儲かるSNSの富の仕組み

スマホが登場し、どんどん世の中はデジタル化しています。

今までは新聞や書籍、テレビで摂取していた情報を、ネットで手軽に得る人の方がメジャーになってきました。

 

新聞やテレビ、書籍には必ず編集者がいて、内容に対する責任者がいました。

情報が真実かどうか、チェックする機能がありました。

 

一方、SNSでは、誰でも好きな時に好きなことをアップできます。

その手軽さが楽しさであり、利点ですが、情報そのものが真実かどうか、チェックする機能がありません。

 

SNSでは、人の注目を集めれば集まるほど、広告をだすチャンスが生まれ、富を得ることができます。

情報が真実かどうかより、どれだけ人の関心を集めることができるか…。

人の健康より、いかに滞在時間を増やすか優先させます。

 

さらに、人はネット上の文章を1から10まで全部ちゃんと読みません。

関心のあるところだけ流し読みをします。

それが真実かどうか、考える暇も与えないようにいつも目の前に登場し、人の興味を巧みに惹きつけるリンク先を次から次へとクリックしていきます。

ありがちなパターン

ちょっと夕食のレシピを調べるつもりが、ツイッターに通知が入り、情報を流し見しているうちに、ファッションサイトで服をチェック…。いったい何分無駄にしたのか…。無駄にしたのは時間だけでなく、あっという間にお金まで使ってるかもしれない。もとはといえば、おいしい料理を作りたかっただけなのに…。

人の関心を集めるために、莫大な開発費を投入し、ありとあらゆる専門家とタッグを組み、巧みに脳を支配してきます。

当然ながら、『いいね❤』や『リツイート』も考え抜かれたシステムです。

人の承認欲求を刺激し、快楽をかんじさせてくれるドーパミンをどんどん出す仕組みを張り巡らせています。

ドーパミン

やる気や幸福感を得られるだけでなく、運動や学習、感情、意欲、ホルモンの調節など、多くの生命活動に関与する神経伝達物質。感情、記憶、思考、理性、意識、理解などの心の機能に関与。ドーパミンは人格形成において非常に重要なもの。

25歳から30歳頃まで衝動を抑制する能力は育ち切ってない

脳は後ろから前に向かって発達していき、衝動を抑制してくれる脳の前頭葉という部分は一番最後に育ちます。

そのため、若い時ほど人は興奮しやすく、衝動を抑えることができません。

アルコールを禁止するのは、若者の方が中毒になる可能性が高いからです。

 

では、スマホは??

 

スマホがお金持ちの贅沢品から、子どもたちみんなのポケットに入り始めた2012年頃から、若者に顕著に増えている睡眠障害に精神不調、学習能力の低下…。

タブレットで学ぶより、紙媒体で学ぶ方が学習能力が上がるというデータ。

スマホが机の上にあるだけで、記憶に差が出るという実験データ。

スマホを利用する時間が多い子供ほど、幸福度が低い傾向にあるとの研究結果が書いてあります。

 

SNSやアプリに慣れ親しみ、すぐに得られる報酬に慣れきってしまい、大きな実りを得るために目の前の一時的な報酬を我慢し、努力することができない子どもたちの姿。

スマホばかりが気になって、目の前のリアルな現実に興味がもてなくなっています。

 

冒頭に書いたように、スティーブ・ジョブズはわが子のデジタル機器利用は制限しているし、アプリ開発者は自分たちが作り出したものに対する罪悪感にさいなまれています。

 

子どもとスマホとの関係を考えるときに、大人が子どもを小さい大人だとおもっていることの危険性を指摘しています。

子どもがなぜ子どもなのか。

身体的、精神的発達段階との関連性は?

 

『スマホ脳』には、実に様々なことが書いてあります。

私たちがどうすればいいのか、押しつけがましい主張はありません。

ただ、データを紹介し、考えられる危険性に警鐘をならしています。

 

研究にはだいたい4・5年はかかり、今の状態についての研究結果が出るのは2025年頃。

2025年になって出そろったデータが私たちにどんな事実を明らかにするのか…。

それを先に知ることはできません。

まとめ

個人的な意見ですが、スマホって、実にうるさいですよね。

視覚的にも意識領域的にも、色も音もなにもかも…。

私はYOUTUBEより本の方が好きだし、映像より文字の方が落ち着きます。

メモを取るのも紙とペンの方が好きです。

 

私たち親世代は、肉体的にも精神的にも、成熟した大人になってからスマホに出逢いました。

脳の機能が十分に発達し、リアルな人生経験を十分に経て、デジタル機器を扱っています。

 

デジタルネイチャーの子どもたちや若者に、この先技術や知識、適応性で叶うことはないだろうし、その順応性や吸収力が、新しい社会と豊かさを生み出していくのも間違いありません。

 

スマホが社会に浸透し、コロナ自粛生活がたくさんのデジタル機器と人との関係をより濃密にしました。

デジタル機器を一切遠ざけるなんて、その方が不自然な世の中に変わりました。

 

デジタル機器を悪とするのでなく、メリットを享受しながら上手に付き合っていく。

その方法を、客観的に今一度考えてみる必要があると感じました。

 

上から与えられるものをそのまま受け取り続けたらどうなるのか。

過去の戦争で、私たち日本人は苦い教訓を得ています。

 

企業や開発者が富より人類全体の利益人間生活全体の豊かさを最優先事項にして開発しているなら安心して使い続けられますが、残念ながら現状はそうではなさそうです。

これから先のデジタル機器がどういう進化をたどるのか。

その行く先は、ユーザーの賢さにかかっています。

 

世の中がどんな方向に進んでいこうとしているのか。

ものすごい勢いで流れる川の中でただ流されるのではなく、この流れがいったいどこに行きつくのか。

その先が見えないことに対する恐怖と不安。

人間が生き残るために進化させてきた危険察知能力を賢く活用するときだと思いました。

おまけ:みんな運動しよう!

そうそう、昔の人の身体能力ってすごかったらしいですね。

そうじゃないと生き残れないから、今のアスリートよりすごかったそうです。

脳は体を動かすためにできていて、身体を動かすと心が健康になるだけでなく、基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させるそうです。

私の勝手な印象ですが、運動習慣のある人に明るくてさっぱりした人が多く、人生を楽しそうに生きているようにみえるのは、脳の構造上自然なことのようですね。

トレーニングを自分に課して向上していくことを繰り返すので、自己コントロール能力も高いように思います。

運動は楽しさも苦しさも、人とのかかわりも疲労感も、感じとるものが全部とてもリアル。

最近ジムに通い始めましたが、周りの皆さま本当にすごくて、運動習慣の全くなかった私にとっては教えてくれるコーチのみならず、長年通っている会員の皆さま全員、めっちゃ尊敬のまなざしで見ています。

知らない世界を発見した喜び(*‘ω‘ *)

デジタル機器を物理的に触らない時間を作るためにも、親として今すぐできることは、子どもに一生続くような運動習慣をつけ、自分自身も運動し、リアル社会の中で快活に生きる姿を見せることだなぁと思います。

いろいろ難しいことたくさん書いてあったけど、まずは走ることから実践します☆

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2020年2月10日