読書の秋ですね。
緊急事態宣言でお仕事がお休みになりました。
余白の時間で、読書を楽しんでいます。
今日は、自由と所有について。
とても印象的な本を読んだので、自分の備忘録をかねてのご紹介です。
誰かを所有しようとすれば、自由が死に関係性が色褪せる
人は何も持たずに生まれ、何も持たずに死にます。
家族、友人、恋人、仕事仲間。
どれほど自分の人生にとって大切な人がいても、死ぬときは一人。
あらゆる人が、自由だからこそ、生き生きとした時間を共に生きることができる。
誰かを所有しようとするとき、お互いの自由が死んでいく。
誰に遠慮することなく自分自身の意志で共に在るとき。
波長が合っているその絶妙なタイミング。
その期間だけ、お互いを求めあいながら共に生きることができる。
その完璧な自由と美しさについて。
誰かを所有することはできないし、誰も所有しないからこそ、自由でいられる。
自由と手放しについて、とても印象的な文章を紹介します。
昔、あるところに一羽の鳥がいた。
その完璧な翼は、色鮮やかに光り輝く素晴らしい羽に恵まれていた。
それはまさに、自由自在に空を翔け、見る人を喜ばせるためにつくられた動物だった。
ある日、ひとりの女がこの鳥を目にして、ひと目で恋をしてしまった。
それが空を飛ぶのを彼女がぽかんと口を開いて見つめていると、心臓は速度を増して高鳴り、瞳は感動に輝いた。
彼女はその鳥に、一緒に飛ぼうと呼びかけて、ふたりは完全に調和して空を旅した。
彼女はいつも鳥を仰ぎ見て尊敬し、誉め称えた。
ところがそこで、彼女は考えた。
もしかして、彼は遠くの山へ行こうとしているのかもしれない!
そして、女は恐れを感じた。
あの鳥に対して、それまで感じていたことをもう二度と感じられなくなってしまうのではないか、という恐れを。
また、彼女は羨望を覚えた。鳥の飛ぶ能力に対する羨望を。
そして、彼女は孤独を覚えた。
彼女は考えた。
「罠を仕掛けてやる。今度、鳥が姿を見せた時には、二度と逃げられないようにしてやる。」
鳥のほうもまた恋していたので、翌日にも姿を現し、罠に落ちて、鳥籠に閉じ込められてしまった。
毎日、彼女は鳥を眺めて暮らした。
そこに彼女の情熱の対象がいるのだった。
そして、それを彼女は女友達たちに見せた。
彼女らは口々にこう言った。
「うらやましいわ、あなたは欲しいものをすべて持っているんだもの。」
ところが、奇妙な変質が起こりはじめた。
彼女はすでに鳥を手に入れてしまっていて、もうあえてその気を引く必要がなかったため、徐々に関心を失っていったのだ。
鳥のほうも、空を飛んで自分の人生の意味を表現することができないので、次第にやつれていき、輝きを失って醜くなった。
そして女ももう彼に注意を払わなくなった。
もう、ただ餌をあたえて、鳥籠の掃除をするだけのことだった。
ある美しい日のこと、鳥は死んだ。
彼女は深い悲しみをおぼえ、彼のことを考えて暮らした。
しかし、彼女が思い出すのは鳥籠のことではなく、彼を初めて見た日のこと、楽し気に雲の間を飛んでいる姿だった。
もし自分自身をじっくり観察してみれば、彼女には分かったはずだった。
彼女が感動をおぼえたのは、なによりもその自由のせいだったことが。
鳥がいなくなってしまって、彼女の人生も意味を失い、死がやってきて彼女のドアを叩いた。
「何しに来たの?」と彼女は死にたずねた。
「君がふたたび彼と一緒に空を飛べるようにするためだ」と死は答えた。
「もし彼を自由にして、いつでも帰ってこれるようにしていたら、君は以前にも増して彼を愛し、尊敬するようになっていただろう。なのに、今や、彼にふたたび会うためには私の助けがひつようになってしまったのだ。」
『11分間』パウロ・コエーリョp241-242より引用
まとめ
結婚について、子育てについて、両親との関係について、友人関係について。
すべての人間関係において、相手を自分の思い通りにコントロールしようとする自分に気が付いたら、この話を思い出し、解放したいと思います。
自分自身の人生を誰よりも尊重し、だからこそ、その自由で相手の人生も尊重して生きることができる。
いつまでも波長が合い続けることはないかもしれない。
でも、その一瞬の時を共に輝けるなら。
それ以上に素晴らしい時間はないのかもしれない。
共にいる時間が過ぎ去ったら、きっとまた新しい存在が姿を現す。
お金も愛情も、積み重ねることそのものに価値を置く文化のただ中で、こんな意見は異端かもしれないけれど…。
共に自由でいることで、お互いがお互いの邪魔をせず、さらに輝きを増し続ける。
それを心から祝福できる。
そんな関係性が最も魅力的だと思う。
時間は過去から未来に脈々と積み重なるものではなく、その一瞬そこに在るもの。
人も同じ。
いつまでも共にいることを求めすぎて、本質を見失わないようにしたいと気が付いた本でした。