どんぐり倶楽部ワークショップのボランティアをしました。
どんぐり倶楽部ってご存知ですか??
先日の日曜日、岡山県総社市にて『本物の学力を育てるとっても簡単な方法』というワークショップが開催されました。
友達が主催者だったので、一日ボランティアスタッフとして参加し、初めてどんぐり倶楽部の理論に触れました。
講師は 金森 明 先生。
元、IT企業の人事部担当で、いい人材が集まらないことに疑問を持ち、現在の活動にたどり着かれたそうです。
どんぐり倶楽部は、現在の学校教育に警鐘を鳴らし、子どものための教育とはどういうことなのか。
日常生活の子育てスタイルから、勉強の解き方、独自で開発されたどんぐり教材の普及活動など、子どもの教育に真剣に取り組んでいる団体です。
ワークショップでは、学校の現状を資料を基に説明された後、教室での子どもの気持ちを体験する時間がありました。
ストップウォッチを量りながら競争して解いていきました。
サクランボ計算、割り算の計算問題、文章題。
学校でやっているのと同じ形式で、解き方の説明を受けました。
ストップウォッチで競争しながら問題集を参加者全員で解いていきました。
サクランボ計算は一年生の気持ちになり、左手(逆手)で解いていきました。
時間内に終わらなくても、先生の合図があれば、すぐに次のページに進みます。
全部できたら手を挙げる。
「何分何秒」と先生に告げられ、それを書き留める。
なんだか焦るし、いやぁな空気を感じました。
先生の呼びかけに、参加者全員がうなずいていました。
どんぐり的学習法
私自身、どんぐり倶楽部に触れるのは初めてだったので、説明があってるかは分かりませんが、自分なりにまとめてみました。
どんぐり倶楽部では、例えば算数の文章題の場合、状況を絵で描き、問題を解いていきます。
必ずしも式にこだわらなくても、答えを導き出すことができること。
どんぐり倶楽部の定義
- 「思考力」とは、再現した視覚イメージを操作すること。
- 「理解力」とは、記号(言葉・文字)から、視覚イメージを再現すること。
- 「深い理解力」とは、再現した視覚イメージから、感覚・感情を伴う原型イメージを再現し、感じ、味わうこと。
- 原型イメージは、実体験で感じ味わうことでのみ形作られる。
まず絵を操作でき、それを数式に置き換えられること。
テクニックのように、文章題からキーワードを見つけ、型に当てはめる学習とは違う方法です。
学習の意図を考える
突然ですが、学校で定番の宿題について質問です。
計算ドリルは何のためにするのでしょうか?
音読カードは?
漢字の書き取りは?
本当に必要な学習でしょうか?
他にいい方法はないのでしょうか??
考えてみたことがあったでしょうか?
今回のワークショップに参加して一番感じたことは、親がちゃんと考えないといけないということです。
戦時中のことも頭をよぎりました。
上から降りてきたことを、そのまま当たり前に受け止めるのではなく、自分で一回、何のためにという視点を持たないといけない。
子どもにとって本当にいいことなのかどうか。
子育ての責任を親がしっかりと握り、何をするにしても、親が自分で考えて子どもに与えないといけない。
「自分もそうだったから。そういうものだから。」
は、何も考えていないと同義だと分かりました。
元小学校教諭の私には、耳の痛い話がたくさんありました。
でも、その通りだと思いました。
疑問を持つということもなかった自分をとても恥ずかしく思いました。
良薬口に苦し
どんぐり倶楽部からのアドバイスを紹介します。
どれもズバズバ厳しい内容だと感じました。
子育てや教育にはいろいろな考えの人がいて、いいとか悪いとか、一概には言えないと思っています。
自分のしていることに反する指摘を受けるのは、受け入れがたく、苦しいものですね。
- 親は、怒鳴らない、急かさない、否定しない、命令しない。
- 勉強(宿題)も制限(先取り学習、高速計算、徹底反復、大量暗記、パターン学習)
- 高速計算・反射学習は厳禁(計算プリント、算盤、フラッシュカード、暗算等)
- ゲーム機、テレビ、ネット等のデジタルメディアに触れる時間をゼロに近づける。ニュースも見せない。
- 習い事もゼロに近づけ、のんびりした毎日を心掛ける。
- スポーツ少年団はやりすぎで子どもを壊す。
- 外遊び・自然の中で遊ぶ時間を増やす。
- 学校は行きたくない時は行かなくていい環境にする。
- スナック菓子、清涼飲料水、菓子パン、その他添加物たっぷりの食品をやめる。
- 砂糖を減らす。
どれもドキッとする内容ばかりです。
あなたはどう感じましたか?
子どもは遊びで学ぶ。
これは私も常々思っていることです。
脳や学習という目線だけでなく、心理的発達段階としてみても、学童期は、友達と遊ぶことが一番大切な時期です。
心理的発達課題を適切な時期にクリアできなかったら、必ず親子でやり直しの時期を迎えることになります。
そうしないと人は、次の発達課題にスムーズに進めません。
金森先生は、便利すぎる今の生活にも注意が必要だとご指摘くださいました。
例えば、おふろ水を入れるというお手伝い。
昔は溢れないように注意して水をため、熱くなり過ぎないようにお湯を沸かし、上の層と下の層をかき混ぜて調節しました。
そういう、実体験が日常にありました。
現代は、だいたいの家庭がボタンを「ピッ!」と押せば全自動でお湯が入る。
体得する間がない。
手伝い一つをとっても、子どもに必要な学びを提供できる環境を親が視点をもって、整えないといけない。
親の背中を見て子どもは育つ
どんぐり倶楽部の理論はどれも教育の原点をついていて、本質だと思います。
実生活とどうバランスをとっていくのか。
親の覚悟と良識が問われると思います。
ワークショップでは、学校の先生への批判が濃い内容でした。
ほとんどの先生は、真剣に子どもの成長を願っています。
毎日、自分の対応を振り返り、落ち込んだり手ごたえを感じたり、一喜一憂しながら頑張っています。
なぜ現在の教育に問題があるのか。
なぜ現行のような教育システムになったのか。
国の政治的都合は?
学校への親の態度・期待はどうなのか。
社会は学校という存在に何を求めているのか。
先生たちがもっと考えないといけないのは間違いありませんが、落ち着いて教室の子どもに向かい合えるだけの時間的・精神的余裕を与えてあげてほしいとも思います。
安心して振り返る時間が確保されれば、現状は現場から自ずと変わっていくのではないでしょうか。
どんぐり理論についてもそのまま妄信するのではなく、自分はどう思うのか。
どう活用していくのか。
学校教育とのバランスをどうとっていくのか。
意見が対立する場合、反対意見を述べる時にはどういう言葉、態度で臨めばいいのか。
大人の品性を、子どもが後ろでじっと見ていることも忘れてはならないと思います。
まとめ
どんぐり倶楽部に触れるのは初めて、という人。
県内でひっそりと、どんぐり理論を活用している人たち。
たった一人で県内を駆け回り、そんな人たちを掘り起こし、80名もワークショップ集めたMさん。
本当に尊敬します。
情熱は伝わる
行動すれば、道は開ける
それを、すぐ近くで実証してくださいました。
先日、『志事』という言葉を学びました。
金森先生は、ほとんどボランティアで全国を周り、どんぐり倶楽部を広める活動をされています。
お二人とも、『志事』として、取り組んでいらっしゃると思いました。
娘の小学校入学直前に、どんぐり倶楽部という視点を授けていただき、本当によかったと思いました。
ワークショップ後、早速夕方のテレビ禁止。
毎日の夕食のお手伝いを始めました。
人に出逢い、知に出逢う。
素晴らしい出逢いの連鎖に感謝して。